環境省が出している
「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」には、
「ほうれん草」は「避けたい食材、注意が必要な食材」にリストアップされています。
その理由として「シュウ酸が多く含まれているため、シュウ酸カルシウム尿石症の原因になり得る」
と書かれていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?

確かに、もしシュウ酸の成分が体内にまったく存在しなければシュウ酸カルシウム結晶はできません。
ですからシュウ酸を多く含む食材がシュウ酸カルシウム尿石症の原因になるという意見を否定することはできません。

しかしながら、
ほうれん草に限らずキャベツやブロッコリーなどシュウ酸を含む野菜は他にもたくさんあり、
それらを食べるだけでシュウ酸カルシウム尿石症になるとしたら、
野菜を食べる習慣のある人や動物は皆シュウ酸カルシウム結晶を発症しているはずですが、果たしてそうでしょうか。

実際には、野菜を食べているヒトも、犬や猫も、食事からシュウ酸を摂取して何か問題が起こるようなことはあり得ません。

結石がどのようにできるかというと、ポイントは尿の中のシュウ酸濃度とカルシウム濃度であり、その濃度が高まると尿中で溶けきれなくなり過飽和状態となって結晶となるのです。
ですから逆に摂取水分量が十分であれば、シュウ酸もカルシウムも過飽和にならずにどんどん排泄されていくため結晶はできないのです。

逆にドライフードを食べていて、水をあまり飲まないという犬や猫は、過飽和の危険性が高まります。
ですから水を飲まないなら水分量の高いものを食べさせたり、スープを飲ませるなど何らかの工夫をして、摂取水分量を増やすようにすることはとても大切なのです。

一方、ストラバイト結石による尿のpHコントロール用療法食により尿が酸性化すると、結果的に高カルシウム尿が出るようになります。その結果、今度はシュウ酸カルシウム結石症につながってしまうという皮肉な事実があります。

以上のように、シュウ酸カルシウム結晶の主たる原因は、水分摂取不足やカルシウム摂取量の減少などであって、シュウ酸を含む食材を食事として摂取することで起こるものではないと言えます。
よってほうれん草を食事に取り入れる上でシュウ酸のことを心配する必要はないのです。