先日、「固いものを与えていないので歯が心配。でも固いものは消化不良が心配。

煮干し程度の固さのものでよいのか、ガムのようなものがよいのか?」と悩むペットの飼い主さんの話を伺いました。

固いものを食べさせないと本当に歯に問題が出るのでしょうか。

また食べ物には理想の固さというものがあるのでしょうか。

確かに、柔らかいものばかりを食べていると歯が退化してしまうという心配にも一理あります。

人間に置き換えてみると、現代人は昔に比べて食事内容が圧倒的に口当たりのよい柔らかいもので構成されるようになり、中には「◯◯inゼリー」のようにほとんど噛まずに食べられる食事なども多く取り入れられています。

その結果、若い世代では永久歯の本数が少ない、親不知が生えない人の増加がみられると言われ、警鐘を鳴らす歯科医もいます。

しかし、犬に同じことが当てはまるわけではありません。

 

食事中の犬の歯の使い方を思い出してみてください。

固かろうが柔らかろうが、なんでもほぼ丸呑みしてしまうワンちゃんがほとんどですよね。

たとえ固いものを与えたからと言って、じっくり噛んでくれなければ歯を鍛えることにはなりません。

たとえ丸呑みしないワンちゃんでも、どれくらい噛むかは食事の固さによってではなく、個々の犬によって決まります。

従って、もし噛むことで歯を鍛えようと本気で考えるのであれば、食事ではなく、噛むおもちゃを与えるとか、ロープを引っ張りっこするなど遊びの中で行うほうがよほど有効です。

食事となると、噛んで味わうことより「早く胃袋へ送り込みたい」という欲求が勝って呑み込んでしまいますが、本来犬は噛むことが好きですから、遊びの中に取り入れれば喜んでノッてくるワンちゃんは多く、ストレス発散につながる可能性もあります。

 

以上みてきたように、歯のために、食事の固さについてあれこれ心配する価値はありません。

何を与えたとしても噛む回数は個々のワンちゃんによって異なりますから、食べ物としての正解の固さなど存在しないのです。